投資ワンルームマンションに対して「絶対にやめとけ」という強い拒絶反応が渦巻く最大の理由は、販売業者が謳う「二大セールストーク(節税と年金対策)」が、数字上のトリックで塗り固められている点にあります。不動産流通の最前線を取材すると、契約者の多くが初年度の確定申告を終えた直後、あるいは数年が経過した段階で激しい後悔に襲われている実態が浮き彫りになります。
まず「ワンルームマンション投資による節税」のカラクリです。不動産所得が赤字になった場合、給与所得など他の所得と合算して課税所得を引き下げる「損益通算」を利用することで、所得税の還付や住民税の軽減を受ける仕組みを指します。しかし、多額の節税効果が得られるのは、登記費用や不動産取得税、ローンの事務手数料などの初期費用を一括計上できる初年度だけです。
2年目以降に経費計上できるのは、建物の減価償却費や借入金利息の一部、固定資産税などに限定されます。新築ワンルームマンションの場合、RC造(鉄筋コンクリート造)の法定耐用年数は47年と極めて長いため、1年あたりに配分される減価償却費はごくわずかです。その結果、帳簿上の赤字幅は一気に縮小し、期待していたほどの節税効果は得られなくなります。そもそも「節税になる」ということは「事業として赤字を垂れ流している」と同義であり、手元の現金を減らしながら微々たる税金の還付を喜ぶという本末転倒な事態に陥っているのです。
次に「私設年金の代わりになる」という触れ込みも、現実のキャッシュフローを無視しています。35年ローンを完済した頃、手元に残るのは「築35年を超えた老朽化ワンルーム」です。築年数の経過に伴い家賃は下落し、空室期間は長期化します。さらにエレベーターや外壁の大規模修繕によって、管理費・修繕積立金は新築時の1.5倍から2倍近くまで跳ね上がります。家賃収入から諸経費を差し引けば、手元に残る金額は雀の涙です。「老後を支える年金」になるどころか、毎月の修繕費や固定資産税を支払い続ける負債を背負い込むことになります。