空間の描写において圧倒的な存在感を誇るのが、かつて香港に実在した九龍城砦だ。無法地帯と呼ばれた巨大な迷宮空間は、解体された今もなおフィクションの世界で生き続けている。乱立する無数の看板、縦横無尽に走る違法な電線、湿り気を帯びた薄暗い路地裏。この独自の都市構造は、チャイニーズマフィアの潜む世界観と完璧な相性をみせる。
背景に立ち込める霧や水滴に反射する赤いネオンの光。雑多でカオスな建造物の描写が、キャラクターの孤高さを際立たせる。緻密に描き込まれた背景構造は、見る者を一瞬で異世界の裏社会へと引きずり込む力を持っている。