ドラマシリーズを観終えた多くの視聴者が最も知りたがっているのが、「原作漫画は最終的にどのような結末を迎えたのか」という結末の真相です。かわぐちかいじが全32巻・8年間にわたる連載の末に描き出したラストは、今なお読者の間で議論が絶えない衝撃的なものでした。
東京湾での戦闘を経て太平洋へ抜けた「やまと」は、アメリカ本土を目指して大西洋へと進出します。米海軍が総力を結集した大艦隊との死闘を繰り広げ、圧倒的な戦術と潜航技術で米空母機動部隊を次々と無力化した海江田は、ついにニューヨーク沖へと到達します。そして海江田は、潜水艦を降り、丸腰で国際連合本部ビルへと足を踏み入れるのです。
国連総会の演壇に立った海江田四郎は、各国首脳や世界中のテレビ中継が見守る中、自らが構想した真の平和構想を演説します。それが「真の国連軍の創設」と「世界政府による軍事力の管理」でした。海江田の主張の要点は以下の通りです。
- 世界各国の戦略原潜(原子力潜水艦)をすべて国連の直接指揮下に編入し、特定の主権国家から切り離す。
- いかなる国が侵略戦争を企てようとも、国連直属の原潜群がその国の軍事拠点を即座に壊滅させる態勢を敷く。
- これによって主権国家から戦争という選択肢を永久に剥奪し、国家間の紛争を国際裁判と経済システム(やまと保険機構)で解決する。
この国連直属となる原潜部隊こそが、作品のタイトルである「沈黙の艦隊」の真意でした。深海に潜み、決して姿を現さず、声も出さず、ただ戦争の抑止力として地球を巡航し続ける艦隊です。
しかし、演説を終え、歴史的な大喝采を浴びながら国連ビルを後にしようとしたその瞬間、悲劇が起きます。海江田四郎は、会場に潜入していた暴漢の銃弾によって頭部を撃ち抜かれ、その場に倒れ伏すのです。生死の境を彷徨い、意識不明の重体となった海江田。しかし、彼が流した血と命懸けの演説は世界を動かし、米大統領や各国首脳は「やまと条約」への署名へと向かいます。海江田というカリスマが撃たれたことで、皮肉にも彼の思想は神話化され、不可逆の国際秩序改革へと昇華していったのです。