香川県外のネットコミュニティにおいて、時折囁かれるのが「琴平のうどんは観光地化されていて、高松市内や郊外の田んぼの中の名店に比べて割高で味が落ちる」という言説です。しかし、この言説には重大な事実誤認が含まれています。
第一に、価格設定の背景です。高松市郊外の完全セルフ店(かけうどん280〜320円)と比較すると、琴平参道の一般店は400〜500円台と一見高く見えます。しかし、これは「席まで運んでくれるフルサービス(一般店形式)」のコスト、および国登録有形文化財をはじめとする歴史的建造物の維持保全費用が内包されているためです。東京や大阪の商業施設なら1000円を超えても不思議ではない職人手打ちのうどんが、ワンコイン前後で提供されている事実は、むしろ極めて良心的といえます。
第二に、出汁の贅沢さです。参拝客という全国から集まる多様な客層の舌を満足させるため、琴平の老舗群は伊吹島産の高級いりこ、利尻昆布、高知産削り節などを惜しみなく投入しています。地元民が選ぶ 琴平うどんの真相を追跡すると、出汁の奥深さを知る近隣のうどん通ほど、あえて琴平の老舗を「贅沢な一杯」として定期利用している姿が浮かび上がってきます。