1939年11月の朝鮮民事令改正により、法律上の骨組みが確定した。朝鮮半島には古くから「姓」と「本貫」を重視する血統主義の伝統が根付いており、同姓同本による強い連帯が社会の骨格をなしていた。しかし、この法改正によって新たに「氏」の概念が持ち込まれ、家族全員が同一の氏を名乗る日本型の戸籍体系が構築されることになった。
制度の導入は、現地の身分秩序や家族観に甚大な混乱をもたらした。伝統的な「姓」は変更されず公文書に併記されたものの、日常生活や公的な手続きでは「氏」の利用が優先された。この結果、数百年以上にわたって受け継がれてきた伝統的な親族構造が揺らぎ、戸籍制度の転換は現地の社会倫理に計り知れない衝撃を与えることとなった。