健康意識の高い層の間で常識とされる食事法の中にも、胃の消化機能という視点から見直すと、思わぬ落とし穴が潜んでいるケースが少なくありません。ネット上に溢れる健康情報の盲点を検証します。
その筆頭が、「生野菜サラダファースト」の過信です。糖質の吸収を緩やかにするために食事の最初に野菜を食べる習慣は血糖値管理には有効ですが、胃腸機能が落ちている人にとっては逆効果になる場合があります。生野菜に含まれる豊富な「不溶性食物繊維」は、胃の中で水分を吸って膨らみ、人間の消化酵素では分解できません。胃壁を刺激して蠕動を過剰に促したり、胃の中に長時間居座って通過を妨げたりする原因になります。特に胃が疲れている夜間は、生野菜ではなく温野菜やポトフのように加熱して繊維を軟化させた状態での摂取が推奨されます。
もう一つの誤解が、「食事中の水分がぶ飲み」です。「水分をたくさん摂れば便通が良くなり消化もスムーズになる」と考え、食事中に冷たい水やお茶を何杯も流し込む人がいます。しかし、食事中に大量の水分を摂取すると、せっかく分泌された胃酸や消化酵素ペプシンが薄まり、タンパク質の変性効率が著しく低下します。咀嚼を怠って水分で食べ物を喉の奥へ流し込む癖がつくと、物理的な破砕が不十分なまま大きな塊が胃に送り込まれ、胃粘膜を疲弊させる悪循環に陥ります。