私たちが日常で使う五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)は、通常それぞれ独立したルートで脳へと伝達されます。しかし共感覚を持つ人の脳では、1つの刺激に対して複数の感覚が同時に連動して立ち上がります。
嗅覚が絡む共感覚には、主に以下の2つのパターンが存在します。
- 匂い ➔ 視覚・色(色嗅):香水や料理、雨の匂いをかいだ瞬間に、目の前に特定の色や幾何学模様、光のグラデーションが広がる。
- 文字・音 ➔ 匂い:「火曜日」という文字を見たときや、ピアノの特定の和音を聴いた瞬間に、決まった匂い(バニラ、焦げた木など)を鼻腔の奥に感じる。
嗅覚共感覚の最大の特徴は「知覚の不変性(一貫性)」です。たとえば「ミントの香りは必ず鋭利なシルバーに見える」と感じる人は、何年経っても同じ匂いに対してまったく同じ色や形を知覚します。その場限りの気分や連想ではなく、幼少期から固定されたリアルな知覚体験として本人の世界に定着しています。