ネット上の議論では「DH制を導入すればセ・リーグも自動的に強くなる」という短絡的な意見が散見されますが、これは現場の実態を見落とした誤解です。
DH制を活かすためには、単に打席を増やすだけでなく、「守備につかない選手を精神的・技術的に好調に維持させる調整ノウハウ」と、「二軍からの野手供給パイプライン」が不可欠です。DH専任の打者は守備機会がないため、打席での凡退が続くと守備でリズムを取り戻すことができず、スランプに陥りやすいという難しさがあります。
また、「メジャーリーグ(MLB)が2022年にナショナル・リーグでもDH制を完全導入したから日本も追随すべき」という外圧論も存在しますが、MLBの場合は選手会(MLBPA)の強い要望と長距離移動に伴う身体的負荷の平準化という独自の労使交渉の産物でした。NPBのセ・リーグ各球団におけるファンカルチャーや経営規模はMLBとは大きく異なるため、同一視して語ることはできません。