関越自動車道の渋川伊香保インターチェンジから車を走らせると見えてくる、どこか学術施設のような端正さと手作り感が同居した建物。一歩足を踏み入れると、そこには外観からは想像がつかない重層的な世界が広がっています。
命と性ミュージアムの展示内容は、大きく分けて「生命科学・生殖の神秘」と「民俗学・性文化の変遷」という二本柱で構成されています。一般的な温泉街の秘宝館が抱かせる「エロティックな見世物小屋」というイメージとは一線を画す構成が、来館者を驚かせます。
展示の前半では、受精卵が細胞分裂を繰り返して胎児へと成長していく医学的なレプリカ模型や、男女の生殖器の解剖学的構造が詳細に解説されています。妊娠数週ごとの胎児の重さや実寸大モデルを目の当たりにすることで、自らがこの世に生を受けたプロセスの奇跡を科学的に再確認させられる空間です。
一方で、展示の中盤から後半にかけては、古今東西の性風俗や信仰に関するディープな資料が所狭しと並びます。日本各地の神社に残る男根・女陰を象ったご神体や道祖神の信仰写真、江戸時代の春画や浮世絵の精巧な複製、さらには昭和から平成初期にかけて流通した避妊具・性具の歴史的アーカイブまで、民俗資料館顔負けのコレクションが凝縮されています。
生々しい衝動をユーモアと民俗知へと昇華させてきた人類の足跡が、過度な装飾を排した空間に淡々と展示されているからこそ、観る者は単なる好奇心を超えて、人間の根源的な営みに対する畏敬の念を抱かざるを得ません。