関東の塩気が強い醤油になじんだ人が九州の醤油を初めて口にすると、誰もがその「甘さ」と「旨味の濃さ」に驚く。この独特な味わいを生み出している最大の技術的要因が、混合醸造方式だ。
一般的な本醸造方式では、大豆と小麦、塩水で発酵・熟成させたもろみを絞って仕上げる。これに対し、九州の醤油醸造業で古くから受け継がれてきた混合醸造方式は、熟成したもろみ液にアミノ酸液や甘味料などをバランスよくブレンドする。塩角が取れたまろやかな口当たりと、素材の持ち味を際立たせる重厚な旨味が融合する仕組みだ。
単に砂糖を加えただけの甘さではない。発酵由来の深みとアミノ酸のうま味が重なり合うことで、後引く美味しさが生まれる。一度この味の濃さに慣れてしまうと、すっきりした塩味だけの醤油では物足りなく感じてしまう。まさに中毒者続出と呼ばれる理由はここにある。