事件が起きたのは、2023年2月17日深夜のことでした。当時、札幌放送局に在籍していた船岡久嗣アナウンサーは、出張などの正当な理由がないにもかかわらず上京し、東京都中野区内にある後輩の被害女性アナウンサーが住むマンション敷地内へ侵入しました。
部屋にいた女性の知人男性と鉢合わせて揉み合いになった末、船岡氏は3階のベランダから地上へと飛び降りて負傷。救急搬送され、退院を待って警視庁に邸宅侵入の疑いで逮捕されました。スポーツ実況で落ち着いた語り口を見せていたエリートアナウンサーの常軌を逸した行動は、列島に大きな衝撃を与えました。
捜査当局による取り調べを経て、東京地検は2023年3月28日に住居侵入罪で略式起訴。東京簡易裁判所は即日、罰金20万円の略式命令を出しました。刑事処分としては正式な公開法廷を開く裁判の判決結果ではなく、略式命令による罰金刑という形で法的な手続きは決着を迎えました。
しかし、公共放送としての規律を著しく損なった代償は計り知れません。NHKは同年4月21日、役員会において「職員としての著しい非行があり、放送への信頼を著しく傷つけた」として、船岡氏に対して最も重いペナルティである懲戒免職の処分を決定しました。看板アナウンサーとしてのキャリアは、この瞬間をもって完全に断たれることとなりました。