服部平次が抱き続けてきた奇妙な対抗心。工藤新一がロンドンのビッグベン前で見せたあの劇的な告白を越えたいという執念が、皮肉にも告白のハードルを極限まで押し上げていた。絶景のロケーションにこだわり、絶好のタイミングを逃し続ける姿は、ファンの間で愛ある揶揄の対象ですらあった。
だが、物語の芯にあるのは滑稽さではない。遠山和葉に向けられる感情の純度だ。幾多の危機的状況で平次が反射的に口にしてきた「オレの和葉」という独占欲の滲む言葉。それは計算された告白の言葉よりもはるかに雄弁に、青年の本心を露呈させていた。形式張った言葉で想いを伝える瞬間に何が起きるのか。告白の成立はゴールではなく、ふたりが築いてきた共犯関係のような絆が新たなステージへと跳躍する儀式にほかならない。