我々が特定の表情に対して瞬時に覚える生理的な拒絶反応。その謎に挑む動きが加速度を増している。2026年の日本心理学会の最新大会で発表された知見によれば、人間が他者の顔から不快感を読み取るスピードは、親しみやすさを認識する速度よりもはるかに早いという。認知心理学の視点から見れば、危険回避のセンサーが作動した結果であり、不快な顔ほど強力に視線を捕捉する仕組みが存在するわけだ。
この脳の脆弱性を突き、物語の渦中へと観客を引きずり込むのが映画やドラマの制作現場である。ただ不快なだけでは人は離脱する。しかしただ美しいだけでも記憶に残らない。絶妙な不気味さと憎たらしさを共存させるキャスティングの裏側には、緻密な心理メカニズムの計算が横たわっている。