「方向性の違い」。バンドの解散やタレントの退所において、これほど便利で、かつ本質を隠蔽しやすい言葉はない。しかし、湊あくあの場合、この言葉は単なる建前ではなかった。彼女が求めたのは、どこまでも愚直な「配信者としての純粋さ」だったのだ。
カバー株式会社が東証グロース市場に上場し、巨大企業へと急成長を遂げる中で、所属タレントに求められる役割は劇的に変化した。単にゲームをプレイし、リスナーと雑談するだけの時代は終わった。企業案件、メディア露出、ライブパフォーマンス、そしてIP(知的財産)としてのキャラクター管理。プロジェクトが巨大化すればするほど、タレント個人の「やりたいこと」と、企業の「ビジネス戦略」の乖離は広がっていく。彼女が望んだ活動のあり方と、会社が描くグローバル展開のビジョン。その溝が埋まらなくなったことこそが、決別の決定打だった。