本作の最大の見所は、奇をてらった展開に頼らない圧倒的な人間描写にある。脚本を手掛けた岡田惠和は、どこにでもいる普通の人々が抱く日常の喜怒哀楽を丁寧に救い上げた。集団就職で上京した少女たちが狭い部屋で身を寄せ合い、夢や不安を語り合う夜。そこには、歴史の教科書には残らないけれど、確かに時代を泥くさく支えた人々の生の息遣いがある。
刺激的な波乱を起こして視聴者を驚かせるのではなく、日常の小さな優しさや些細なすれ違いを丹念に積み重ねていく。この手法こそが、時間が経っても決して色あせない強固なリアリティを生み出した。日々の仕事や人間関係に疲れた現代人が「ここへ帰ってきたい」と思える世界観が、緻密に計算された台詞回しによって構築されている。