「気づかなかった期間、特に不審な電話も郵便物も届いていないから問題ないはずだ」と楽観視するのは極めて危険です。運転免許証の券面データが闇市場や犯罪グループに渡った場合、本人が気づかない水面下で組織的な不正利用が着々と進行します。
なかでも深刻なのが銀行口座開設悪用リスクです。犯罪収益移転防止法の規制をすり抜けるため、悪意ある第三者が盗難・紛失免許証の顔写真を精巧に偽造・加工し、オンライン完結型のネット銀行で不正に口座を開設する手口が横行しています。こうして作られた名義貸し口座は、特殊詐欺の振込先やマネーロンダリングの受け皿として売買され、ある日突然、警察から「詐欺事件の容疑者」として事情聴取を求められたり、本人が保有する全金融機関の口座が一斉に凍結される事態へと発展します。
報道各社の事件取材や警察白書のデータでも、背筋が凍るような免許証悪用被害事例が多数報告されています。
- 消費者金融・オンライン融資の不正契約:紛失した券面情報を使い、Web完結型の無店舗型金融業者から数十万円単位の借入を重ねられ、信用情報に「延滞ブラック」が記録された事例。
- 格安SIM・スマートフォンの不正契約:本人になりすまして複数台のスマートフォンを契約・転売され、高額な通信料や端末賦払金の請求督促状が自宅に届いた事例。
- レンタカー・カーシェアの不正利用:盗難免許証で会員登録を行い、車両を乗り逃げして強盗や密輸などの凶悪犯罪の移動手段に使われた事例。
ここで多くの人が直面するのが、「すでに不正利用されているかどうかを調べる一括窓口はないのか」という疑問です。残念ながら、国や公的機関が提供する免許証紛失悪用確認の統合システムは存在しません。悪用の有無を把握するには、信用情報機関へ情報開示請求を行うか、身に覚えのない郵便物や信用照会の通知を自ら突き止めるしかないのが過酷な現実です。