「世界で最もでかい犬の犬種は何か」という問いに対する答えは、評価基準を「体高(地面から背中・キ甲までの高さ)」に置くか、それとも「体重」に置くかによって大きく分かれます。
まず、天を突くような「体高」の記録において頂点に君臨し続けているのがグレート・デーンです。ギネス世界記録に「世界一背の高い犬」として認定されたアメリカのゼウス号(Zeus)は、四肢で立った状態の体高が実に111.8cmに達し、後ろ足で立ち上がった際の全長は2m20cmを超えていました。大人の成人男性が見上げるほどの高さであり、キッチンのシンクから直接立ったまま水を飲むその姿は世界中で大きな話題を呼びました。
一方、平均体高の基準で全犬種中最長を誇るのがアイリッシュ・ウルフハウンドの特徴です。かつてアイルランドでオオカミ狩りに従事していたこの犬種は、標準的な個体でも体高80〜90cm前後に達します。筋肉質でありながら細身で優美な「サイトハウンド(視覚ハウンド)」の骨格を受け継ぎ、巨大でありながら風を切って走る姿は「犬界のアポロ」とも称される気品を備えています。
これに対し、圧倒的な「体重・重厚感」で世界を驚かせたのがイングリッシュ・マスティフやセントバーナードです。英国のイングリッシュ・マスティフであるゾルバ号(Zorba)は、公式計量で体重155.6kgを記録し、ギネス記録に「世界で最も重い犬」として刻まれました。また、スイスのアルプス山脈で遭難者を救助してきたセントバーナードの体重と性格に目を向けると、成犬時の体重は軽々と70〜100kg前後に到達します。雪山で人間を温め救命するために培われた分厚い皮下脂肪と筋肉、そして自らの命を顧みずに人間に寄り添う深い愛情深さと忍耐強さは、まさに「心優しい巨人(ジェントル・ジャイアント)」そのものです。