ネット上で「すみだ北斎美術館 ひどい」や「すみだ北斎美術館 展示 つまらない」と検索される最大の引き金は、「常設展に行けば『神奈川沖浪裏』や『凱風快晴』といった富嶽三十六景の肉筆原画や初摺(しょずり)が壁一面に並んでいる」という思い込みにあります。
一般的なメガミュージアム(国立博物館や大型美術館の企画展など)を想像して足を運んだ来館者の多くが、4階の常設展示室に足を踏み入れた瞬間、そのコンパクトさに虚を突かれます。常設展示スペースはワンフロアの一部に収まる規模であり、所要時間にして20〜30分程度で見終わってしまう広さです。旅行会社の下町観光コースや東京観光ガイドで大々的に紹介されているイメージと、実際の物理的な展示ボリュームとの落差が、ネット上の「展示が少ない」「期待はずれ」という手厳しい口コミへと直結しています。
さらに、展示されている作品の多くが高精細デジタル出力による複製品(レプリカ)である点も、美術ファンや外国人観光客の戸惑いを招く要因となっています。予備知識なしに訪れた入館者からは、「本物を見に来たのに入場料を取られてコピーを見せられた気分だ」といった辛辣な声が上がることも珍しくありません。この事象の根本には、美術展示に対する鑑賞者の意識と、日本の伝統工芸品・紙文化財が抱える厳しい保存基準の摩擦が存在しています。