日本中毒学会や日本救急医学会などの標準治療ガイドラインにおいて、胃洗浄の適応基準は極めて限定的です。現在、処置が検討されるのは「生命を脅かす致死量の毒物を摂取し、かつ摂取からおおむね1時間以内」という極めて限られた条件下のみとなっています。
世間的な誤解が多い急性アルコール中毒については、アルコールが胃粘膜から瞬時に吸収されるため、胃洗浄を行っても効果がほぼ期待できず、原則として適応外です。危険な強酸・強アルカリなどの腐食性物質の誤飲や、ガソリンなどの炭化水素類の誤飲に対しても、食道や肺に二次被害を及ぼすため胃洗浄は禁忌とされています。睡眠薬や精神病薬のオーバードーズ時でも、バイタルサインの安定化と輸液による対症療法が治療の中心となり、安易な胃洗浄は行われません。