旅行や出張から帰還したビジネスパーソンや旅行者のコミュニティ、医療相談プラットフォーム等では、フライト後の耳の異常に関する切実な体験談が日々共有されています。実際の相談事例やSNS上の投稿を検証すると、多くの人が同じような落とし穴にはまっている現実が浮き彫りになります。
大手質問サイトやSNS上では、「着陸時に耳がバリッと鳴ってから3日経ってもトンネルの中にいるような感覚が抜けない」「市販の痛み止めを飲んで痛みを誤魔化しながら仕事をしていたら、徐々に相手の声が聞き取りづらくなり、病院に行ったら鼓膜の内側が真っ赤に腫れ上がっていた」といった手記が頻繁に見受けられます。
航空会社の現役客室乗務員(CA)への取材や聞き取りにおいても、フライト環境の過酷さが語られています。乗務員の間でも「風邪気味の乗務は恐怖そのもの」と周知されており、無理をして乗務した結果、急性航空性中耳炎を発症して長期間の乗務停止(フライトストップ)を余儀なくされるケースは後を絶ちません。プロの乗務員であっても、鼻腔粘膜が炎症を起こしていれば耳管の開閉を自力で制御することは不可能に近いのです。
さらに深刻なのは、ネット上の断片的な情報を鵜呑みにして「耳抜きを力いっぱい何度も繰り返した」結果、症状を劇的に悪化させてしまった一般利用者の声です。「鼻をつまんで強く息を吹き込んだ瞬間、耳の奥で激痛が走り、世界がぐるぐる回り始めて立てなくなった」という生々しい証言もあります。これは、無理な耳抜きによって中耳腔内の圧力が過剰に跳ね上がり、内耳と中耳を隔てる薄い膜(正円窓や前庭窓)が破れる「外リンパ瘻(ろう)」を引き起こした典型例です。