人間の腸の長さは何メートル?「日本人は長い」の嘘と構造を徹底解剖

人間の腸の長さは何メートル?「日本人は長い」の嘘と構造を徹底解剖

人間の腸の長さは何メートル?「日本人は長い」の嘘と構造を徹底解剖の疑問点について、専門知識を基に徹底解説します。

長年にわたり、日本国内では「日本人は穀物や海藻など消化に時間のかかる植物質を多く摂取してきたため、肉食中心の欧米人よりも腸が2〜3メートル長い」という説が広く語り継がれてきました。テレビの健康バラエティ番組や民間の健康法でも頻繁に引用された言説です。

しかし、消化器外科学および解剖学の最新知見において、日本人と欧米人の腸の長さ比較における人種差は医学的に否定されています。

この誤解の起源をたどると、大正から昭和初期に行われた古典的な解剖計測データに行き当たります。当時、日本人と欧米人の遺体を解剖した記録において、摘出方法や計測基準(ホルマリン固定の有無や死後経過時間による弛緩度)が厳密に統一されていなかったにもかかわらず、一部の数値差が独り歩きしました。そこに「米食文化=農耕民族」「肉食文化=狩猟民族」という文化論的な先入観が結びつき、定説化したと分析されています。

世界的な大腸内視鏡手術のパイオニアである医師らの臨床報告や、CTコロノグラフィーを用いた国内外の形態計測研究によると、生体の大腸の長さは日本人・欧米人ともに平均1.5メートル前後であり、人種間での有意な統計的差異は見出されていません。むしろ身長に応じた比例関係や、後述する個々人の骨盤形態・内臓下垂の度合いによる「個体差」のほうがはるかに大きい実態が明らかになっています。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。