『夏色』の公式発売日は1998年6月3日。1stシングルとして世に放たれた本作ですが、その原型はインディーズ時代の路上ライブ期にすでに形作られていました。横浜・伊勢佐木町の横浜松坂屋前(現・カトレヤプラザ伊勢佐木)で毎週木曜日に開催されていた路上ライブには、回を追うごとに口コミで観客が膨れ上がり、最終的には数千人規模の群衆が集まる社会現象へと発展していきました。
この楽曲の核となる「自転車のブレーキ」のエピソードには、北川悠仁の実体験に基づいた素朴なエピソードが存在します。当時愛用していた自転車のブレーキワイヤーが緩んでおり、坂を下る際に全開で握りしめなければ止まれなかったというリアルな身体感覚が、「ブレーキいっぱい握りしめて」という生々しくも切ない詞のフックへと昇華されました。
また、本作を語る上で欠かせないのが、元JUN SKY WALKER(S)のベーシストであり音楽プロデューサーの寺岡呼人との出会いです。路上で鳴らされていたアコースティックギター2本とハーモニカのシンプルな骨格に、疾走感あふれるブラスセクションやパーカッションの音色を巧みに配置。フォークデュオの枠組みを飛び越え、全国のラジオ局でパワープレイを獲得するポップチューンへと磨き上げられました。