世界最高峰の映画祭で満場の割れんばかりの拍手を浴びた本作。日本映画としてはいまや異例とも言えるワールドワイドな注目度は、一作ごとに評価を高めてきた濱口竜介監督の手腕に負うところが大きい。独自のダイアローグ構築と不穏な緊張感を孕んだ映像美は、現地に集った各国の批評家たちの度肝を抜いた。
スクリーンに流れる静寂すらも演出の一部に変えてしまう圧倒的な演出精度。海外の第一線で活躍する映画人たちも「現代の倫理的ジレンマをこれほど鮮烈に切り取った作品は稀有だ」と称賛を惜しまない。劇場の明かりが点いた瞬間、客席を包み込んだのは感嘆の溜息だった。