『おかえりモネ』の放送期間中、一部のネット記事などでは「従来の朝ドラに比べてトーンが静かすぎる」「主人公が受動的で感情移入しにくい」といった論調が散見されたことがありました。しかし、これらは作品の狙いと視聴形態の構造変化を見落とした表面的な見方に過ぎません。
当時の放送業界データを検証すると、リアルタイムの世帯視聴率のみを指標とする旧来の評価軸に対し、タイムシフト視聴率(録画再生)やNHKプラスにおける配信再生数では、同枠における歴代最高水準の数値を記録していました。朝の忙しい時間帯に「流し見」する作品ではなく、夜や週末に「腰を据えてじっくり鑑賞したい質の高いヒューマンドラマ」として圧倒的な熱量で受容されていたのが実態です。
安易なカタルシスや分かりやすい悪役を配することを拒み、震災の心の傷や地方都市の現実という重層的なテーマに真正面から切り込んだ本作は、放送後数年を経た現在でも「後からじわじわと心に沁みる名作」として再評価の声が絶えません。