牛の横隔膜はなぜ内臓?ハラミとサガリの違いと旨い焼き方の極意

牛の横隔膜はなぜ内臓?ハラミとサガリの違いと旨い焼き方の極意

牛の横隔膜はなぜ内臓?ハラミとサガリの違いと旨い焼き方の極意について専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をお届けします。

テーブルに運ばれてきたハラミを見ても、レバーやシマチョウのような独特の内臓感はありません。きれいなサシが入り、鮮やかな赤色をした肉質は、誰が見ても上質な正肉(精肉)に見えます。それにもかかわらず、なぜ牛の横隔膜は「内臓肉」と呼ばれるのでしょうか。

最大の理由は、解剖学的な位置と食肉処理における法的な区分にあります。横隔膜は胸腔(肺や心臓がある空間)と腹腔(胃や腸がある空間)を隔てるドーム状の筋肉膜です。呼吸のたびに収縮・拡張を繰り返す筋組織そのものですが、内臓を支える膜としての役割を持ち、牛を解体する過程で内臓側と一緒に処理されます。

日本の農林水産省が定める食肉規格や、と畜場法における流通ルールでも、横隔膜は枝肉(骨付きの正肉)ではなく「副生物(ホルモン・内臓)」として取り扱われます。赤身に見える正体は、筋肉中に含まれるミオグロビンと呼ばれる赤い色素タンパク質が豊富だからです。つまり、「筋肉組織としては赤身肉に近い性質を持ちながら、流通と解剖学の定義上は内臓肉である」というのが真相です。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。