ネット空間で拡散されがちな「三菱が韓国を完全に見捨てた」という言説ですが、結論から言えば三菱グループ全体の全面撤退という事実は存在しません。三菱グループは一枚岩の単一企業ではなく、各社が独立した上場企業として独自の経営判断を下しています。そのため、韓国事業に対するアプローチも企業ごとに大きく異なります。
世間に「全面撤退」という強烈な印象を与えた主因は、消費者向け(BtoC)ビジネスの象徴であった三菱自動車の完全撤退と、政治・外交問題に発展した三菱重工業の徴用工訴訟問題という2つの象徴的な出来事です。一般消費者の目に触れやすい自動車が姿を消し、ニュースで重工の差し押さえ問題が連日報じられたことで、「三菱=韓国撤退」という認知が定着しました。
しかし、工場の自動化を支える産業機器を供給する三菱電機や、エネルギー・化学品トレーディングを担う三菱商事など、産業の根幹(BtoB)に関わる事業は今なお韓国市場で強固な基盤を維持しています。感情論ではなく、各社の事業構造ごとに事態を切り分けて把握することが不可欠です。