都心部や近郊エリアの分譲・賃貸マンションで今なお主流を占めているのが、多段方式の機械式立体駐車場です。都市計画や建築基準法の変遷を振り返ると、これらの多くは昭和末期から平成初期にかけて普及した「5ナンバーサイズのセダン」を基準に設計されました。その結果、業界の標準規格として機械式立体駐車場 1550mm制限という厳格なレギュレーションが固定化され、現代に至るまで設備更新が進まないまま維持されています。
一般社団法人日本駐車場協会の公開データやマンション管理組合の運営実態調査によれば、築15年以上の集合住宅においてパレットの大型化工事を実施できる管理組合は全体の2割未満にとどまります。数千万円から億単位にのぼる設備改修費用や積立金不足がボトルネックとなり、多くの住民が従来の枠組みに従わざるを得ないのが実態です。
「子どもを抱っこして乗り降りさせたい」「ベビーカーを畳まずに積みたい」という親心から、トヨタのヴォクシーやシエンタ、ホンダのステップワゴンやフリードを検討しても、全高はいずれも1695mm〜1850mm前後に達します。都心の月極相場を考慮すれば、外部の平置き区画を契約することで年間40万〜60万円もの維持費が跳ね上がることになり、家計にとって極めて重い負担としてのしかかります。