アトラクション的な遊び要素に目を奪われがちですが、本施設の根底を支えているのは、国史跡にも匹敵する本物の歴史遺産です。
村内に佇む甲賀流からくり屋敷は、甲賀五十三家筆頭格であった藤林家の旧邸をそのまま移築した実在の建造物です。外観はどこにでもある茅葺きの農家に見えますが、内部には敵の侵入を防ぎ、瞬時に姿を隠すための構造が張り巡らされています。
係員の実演解説付きで案内される仕掛けには、押せば裏返る「どんでん返し」、中二階へ続く巧妙な「隠し階段」、天井裏へ抜ける脱出口など、当時の忍者が命懸けで考案したサバイバルの知恵が生々しく刻まれています。作られたフィクションではなく、実際に忍者が生活し防衛していた空間に立てる点は、歴史ファンのみならず建築好きの知的好奇心を強く刺激します。
また、敷地奥にある甲賀忍術博物館は、忍術三大伝書の一つとして名高い『萬川集海(ばんせんしゅうかい)』をはじめ、実物の火器、手裏剣、潜入道具などを展示する世界有数の忍術資料館です。薄暗い館内に整然と並ぶ古文書や忍具からは、映画や漫画のような派手な魔法ではなく、情報収集と心理戦に特化した現実の諜報員としてのリアリズムが伝わってきます。