なぜ白猫では頻繁に見られ、黒猫では極端に珍しいのか。その決定的な要因は、毛色と眼球の色素細胞(メラノサイト)の移動を司る遺伝子の違いにあります。
白猫の多くは、優性白遺伝子(W遺伝子)や白色斑遺伝子(S遺伝子)を持っています。これらの遺伝子は、胎児の発生段階において神経堤から眼球や内耳へのメラノサイトの移動を抑制する働きを持ちます。その結果、色素が届かなかった側の目が青色になり、オッドアイが形成されます。
一方、黒猫はメラニン色素を全身に分布させる遺伝子が正常に機能しています。それにもかかわらず黒猫にオッドアイが発生するメカニズムとしては、以下の3つのケースが学術的に解明されています。
- 局所的な体細胞突然変異:胎児期の細胞分裂の過程で、片方の眼球のメラノサイト形成に関わる遺伝子のみに突然変異が起き、色素沈着が阻害されたケース。
- キメラ現象(遺伝的キメラ):2つの受精卵が受精後に1つに融合して発生した個体。体内で異なる2系統のDNAが混在し、片目だけが異なる色素形成プロセスを辿ったケース。
- 後天的な要因:緑内障、ぶどう膜炎、眼外傷、角膜疾患などの病気や外傷によって、成猫になってから片目の虹彩の色が変色したケース。