美男子として生きていく選択肢もあった西本が、なぜ現在のような「角刈り巨漢キャラ」へと舵を切ったのか。その背景には、生理的な要因とお笑い芸人としての冷徹な生存戦略が複雑に絡み合っています。
1. 激太りの引き金となった「深夜の食生活」と体型肯定
体重増加の直接的な契機は、芸人下積み時代特有の不規則な生活習慣でした。深夜のアルバイト明けに流し込むハイカロリーなラーメンや揚げ物、過度な飲酒が重なり、20代後半から加速度的に体重が増加していきました。
通常のタレントであれば焦って過度なダイエットに走るところですが、西本の場合は違いました。太るにつれて舞台上でのウケが明らかに良くなり、先輩芸人や観客から「転ぶだけで面白い」「哀愁が増した」とポジティブなフィードバックを得るようになったのです。「痩せている自分よりも、太っている自分の方が人を笑顔にできる」という確信が、体重維持のストッパーを外す契機となりました。
2. 迷いを断ち切った「角刈り」への運命的転換
そしてもう一つの決定打が、トレードマークである「角刈り」へのイメチェンです。中途半端に髪を残して太るのではなく、昭和の劇画から飛び出してきたかのような直角のヘアスタイルを採用したことで、唯一無二のキャラクターが完成しました。
きっかけは劇場の楽屋や番組企画での悪ノリ、相方であるジェラードンかみちぃや周囲のアドバイスでしたが、鏡を見た西本自身がその強烈な違和感に爆笑。「これで行くしかない」と覚悟を決めた瞬間でした。美形としてのプライドを完全にかなぐり捨て、自らを笑いのアイコンへと昇華させたこの決断こそが、後の大ブレイクを引き寄せる最大の分岐点となったのです。