数ある資格の中で、狩野英孝の人生観を最も大きく決定づけたのが神職の資格です。実家である宮城県栗原市の櫻田山神社(さくらださんじんじゃ)は、約1500年の由緒を持つとされる古社。第39代宮司を務めていた父・狩野勉さんが2012年夏に急逝したことを機に、長男である狩野は「家系が守り続けてきた伝統の灯を絶やすわけにはいかない」と固い決意を固めました。
神社本庁が定める神職の階位を取得するには、通常であれば皇學館大学や國學院大学の神道系学部で4年間学ぶか、指定の養成所へ長期通学する必要があります。しかし、すでに芸能界で過密スケジュールを抱えていた狩野は、社会人向けに開講されている「國學院大学 神職養成講習会」の受講を選択しました。
この講習会は、決して名義貸しや形式的な講義でパスできる生易しいものではありません。早朝からの禊(みそぎ)、正座で何時間も続く祝詞(のりと)の暗唱、厳格な祭式作法の反復訓練など、身も心も極限まで追い込まれる過酷なカリキュラムです。本人が当時の密着特番や手記で「芸能界のどんな無茶振りロケよりも精神的に追い詰められた。足の感覚がなくなり、祝詞を間違えれば怒号が飛ぶ環境だった」と赤裸々に吐露した通り、一切の特別扱いを排除された環境で修練を完遂。2014年夏、正式に神社本庁より神職の階位である「権正階(ごんせいがい)」を授与されました。