魂の重さ21Gの真相を暴く|ダンカン実験の科学的根拠と嘘の全貌

魂の重さ21Gの真相を暴く|ダンカン実験の科学的根拠と嘘の全貌

魂の重さ21Gの真相を暴く|ダンカン実験の科学的根拠と嘘の全貌に関する最新の話題を分かりやすく解説いたします。

ダンカン医師の実験結果は1907年、医学誌『American Medicine』に論文として掲載され、同時に『ニューヨーク・タイムズ』紙が「霊魂に質量があることを医師が発見」と一面トップでセンセーショナルに報じた。これにより、科学的精査を経ないまま大衆の間に「魂の重さ 都市伝説の真偽」をめぐる熱狂が巻き起こった。

だが、発表直後から真っ当な医学界による厳しい批判が殺到した。同誌上で直ちに反論論文を寄せたオーガスタス・P・クラーク博士らは、人が死ぬと21g減る理由および臨終時の体重減少の理由について、基礎医学に基づいた明快な反証を提示した。

生体は生存中、呼吸や皮膚呼吸を通じて絶え間なく水分を空気中へ排出している。これらは生理学において「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と呼ばれる。心肺が停止し血液の体外循環がストップすると、肺胞を通じた体温冷却機能が失われるため、一時的に体表温度の放散と発汗が急激に進行する。加えて、横隔膜や筋肉の弛緩によって肺内に残存していた空気や呼気中の水蒸気が一気に体外へと押し出される。成人男性の場合、安静時でも毎分0.5〜1グラム前後の水分が気化しており、臨終前後の緊迫した数十分の間に20〜30グラムの重量が失われる現象は、極めてありふれた生理現象に過ぎない。

さらに、マクドゥーガル実験の杜撰さを決定づけたのが、彼が人間との比較対照として行った15匹の犬を用いた安楽死実験である。マクドゥーガルは犬が死亡した際、体重に一切の変動が見られなかったことを根拠に、「人間には魂があるが、犬には魂が存在しない証拠である」と結論づけた。

この論理展開こそが、現代の学術界において魂の重さが嘘と言われる最大の理由となっている。犬は全身に汗腺(エクリン腺)を持たず、体温調節は主に舌を出して激しく呼吸するパンティングに依存している。死によって呼吸が停止すれば皮膚表面からの水分蒸散はほとんど生じないため、死亡直後に体重が変わらないのは動物生理学上あまりにも自明の理である。自らの宗教的偏見(キリスト教的な霊魂観)を立証するために動物の生理構造の違いを無視したこの実験は、科学的根拠を完全に欠いた独善的な試行であった。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。