日本球界のみならず世界中の野球関係者を驚嘆させたのが、山本昌氏による50歳での一軍公式戦先発登板です。大卒や高卒の若手が肉体のピークを迎える20代中盤から30代前半で引退するケースが大半のなか、なぜ彼は半世紀生きてもなおマウンドで通用したのでしょうか。
その最大の要因は、徹底的に無駄を削ぎ落とした投球フォームの再現性にありました。初動負荷トレーニングをいち早く取り入れ、肩や股関節の柔軟性を極限まで保ち続けたことで、故障のリスクを最小限に抑えました。
さらに、球速が130キロ台前半であっても打者の手元で浮き上がるような独自の直球のスピン量と、ブレーキの利いたスクリューボールのコンビネーションが、打者の体感速度を140キロ台後半に錯覚させていた点も見逃せません。「年齢とともに筋力が落ちるのは自然の摂理。だからこそ投球の質とコントロールを研ぎ澄ます」という山本氏のアプローチこそが、前人未到の記録を生み出した本質です。