受診に際して最も多くの患者が混乱するのが、内丸メディカルセンターとの違いおよび岩手医科大学附属病院 移転の経緯です。かつて病院は盛岡城跡公園に隣接する盛岡市内丸に位置していましたが、建物の老朽化と敷地の狭隘化、さらに東日本大震災で露呈した津波浸水リスクのない内陸部防災拠点の必要性から、2019年9月に紫波郡矢巾町へ全面移転しました。医学部・歯学部・薬学部・看護学部の4学部が揃う矢巾キャンパスに高度医療を集約させたのです。
しかし、盛岡市中心部の医療インフラを維持するため、旧病棟跡地には「岩手医科大学附属内丸メディカルセンター」が開設されました。この2拠点の役割は明確に分画されています。
矢巾の附属病院は、高度急性期医療、悪性腫瘍の手術や放射線治療、先進的な心血管治療、周産期母子医療、そしてドクターヘリ基地を併設した3次救急医療を担う「広域の砦」です。原則として一般の風邪や軽微な症状を直接診る場ではありません。
一方、盛岡市内の内丸メディカルセンターは、地域密着型の外来診療、生活習慣病管理、歯科医療センター、各種健康診断などを主軸とする都市型クリニック機能を保持しています。入院病床も回復期や地域包括ケアを中心とした構成です。「まず専門医に相談したい」「軽度〜中等度の症状を診察してほしい」というケースでは、矢巾の本院ではなく内丸メディカルセンターやかかりつけ医を受診するのが本来の医療動線です。