白馬八方尾根を語る上で避けて通れない聖地が、標高1,400m付近に広がる「うさぎ平ゲレンデ」およびその上部に位置する「黒菱(くろびし)ゲレンデ」です。アルペンスキーワールドカップやオリンピックの男子滑降競技が開催された歴史を持ち、最大斜度30度を超えるハードな不整地(天然のコブ斜面)がアルピニストたちを惹きつけてやみません。
降雪直後のうさぎ平は「極上のディープパウダー」を味わえる天国へと変貌しますが、午後になると無数のシュプールによって掘れ上がった巨大なモーグルバーンが出現します。脚力と卓越したターン技術を持たないスキーヤーが不用意に進入すると、斜面半ばで停止したまま立ち往生し、板を外して歩行下山を余儀なくされるケースが後を絶ちません。
対照的に、中級者が八方尾根の醍醐味を存分に堪能できるのが、全長3,000mを誇る「リーゼンスラロームコース」です。朝一番に圧雪されたコーデュロイバーンを一気に滑走する爽快感は日本一とも称され、適度な斜度変化と広大なコース幅が確かな滑りごたえを提供してくれます。