ラーメン二郎各店舗にはそれぞれスープの乳化度や豚の仕込み、醤油ダレ(カエシ)の配合に独自の個性が光りますが、京成大久保店が放つ異彩はグループ内でも群を抜いています。最大のアイデンティティは、三田本店の創業者・山田拓美氏の直系弟子でありながら、二郎の伝統的な豚骨醤油の枠組みを超えた「みそ味」の公式提供を長年許されている点にあります。
京成大久保店のみそスープは、二郎特有の重厚な豚骨出汁と液体アブラのコクを土台に、特製の味噌ダレ、すりおろし生姜、唐辛子のピリッとした辛味が見事なバランスで調和しています。単に既存のスープに味噌を溶かしただけの大味なものではなく、専用の中毒的なコクと香ばしさが幾重にも重なり合う設計となっており、一口啜った瞬間に味噌の豊かな風味と豚の旨味が口内を支配します。
さらに、東邦大学や日本大学生産工学部を擁する屈指の学生街に位置することから、ボリュームに対するコストパフォーマンスへの意識も極めて高く保たれてきました。長年厨房に立ち続ける店主と、丁寧かつ柔らかな接客で店内を包み込む奥様による夫婦二人三脚のオペレーションは、二郎特有の緊張感を和らげ、地域住民から遠征客まで幅広い層を引きつける心理的安全性をもたらしています。