岩永琴子を語る上で欠かせないのが、相棒であり恋人(琴子の主張上は婚約者)である桜川九郎との絶妙な関係性です。人魚とくだんの肉を食らい「不死身」と「未来決定能力」を手に入れた九郎に対し、琴子は病院で一目惚れした瞬間から猛烈なアプローチを展開しました。
一般的なラブコメ作品であれば、ヒロインは好意を隠したり受け身になったりしがちですが、琴子は「九郎先輩の処女(初体験)を奪う気満々」といった大胆かつあけすけな言葉を平然と口にします。九郎からは時に「うるさい」「めんどくさい」と冷淡にあしらわれつつも、事件の現場では背中を預け合う絶対的な共犯関係・信頼関係を構築しています。
恋愛心理学における「自己開示の返報性」や「認知的斉合性」の観点から見ても、琴子のように裏表がなく、自分の欲望や独占欲を100%さらけ出すキャラクターは、受け手に強い安心感と好感を与えます。九郎の元カノである弓原紗季に対して堂々と嫉妬をぶつけつつも、決してドロドロした陰湿さにならずコミカルなテンポ感で進行するため、読者はストレスなく二人の掛け合いを楽しむことができます。