望月教授をめぐっては、学術界の外でも強烈な噂が囁かれました。その最たるものが、暗号資産ビットコインの開発者「サトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)」の正体ではないかという説です。
この説が浮上したきっかけは、ハイパーテキストの創始者として名高い米国の情報哲学者テッド・ネルソン氏が2013年に公開した動画でした。ネルソン氏は以下の根拠を挙げ、望月教授こそがナカモトであると強く主張しました。
- 言語的背景:ビットコインの白書は完璧なネイティブ英語で書かれており、望月教授の英語力と完全に合致する。
- 圧倒的な数学的能力:楕円曲線暗号など高度な数学を駆使するビットコインの理論基盤を単独で設計できる頭脳を持つ。
- 研究姿勢の一致:学会の主流派に迎合せず、自らのウェブサイト上で直接論文を公開する孤高のスタイルが酷似している。
しかし、この憶測に対して望月教授は、自身の公式ブログ「新一の『心の一票』」において完全な誤りであると明確に否定しています。さらに、望月教授の専門である数論幾何学とビットコインに使われている暗号工学は同じ数学分野でも方向性が異なり、ビットコインのソースコードに見られる実践的なソフトウェア開発の痕跡と、純粋数学者としての望月教授の活動軌跡には大きな隔たりがあります。
インターネット特有の「正体不明の天才にまつわる神秘化」が生んだ都市伝説ですが、逆を言えば、それほどまでに望月教授の頭脳が世界から突出した存在として認知されている証左でもあります。