日大三高野球部を語る上で欠かせないのが、2023年3月末をもって勇退した名将・小倉全由(おぐら・まさよし)前監督の存在です。
小倉監督の勇退理由は、65歳という定年を迎えたこと、そして自身の情熱が最高潮のうちに信頼できる後進へ名門のバトンを繋ぎたいという強い決意によるものでした。当時の手記や退任会見において小倉監督は、「選手たちは自分の子ども同然。野球の技術以上に、人間として成長してくれたことが一番の誇り」と涙ながらに語り、多くの高校野球ファンに感動を与えました。選手一人ひとりと向き合い、厳しさの中に深い愛情を注ぐ「心の野球」は、高校野球指導者の理想像として今も語り継がれています。
その後を引き継いだのが、長年コーチや部長として小倉監督の右腕を務めてきた三木有造(みき・ゆうぞう)監督です。三木監督自身も日大三高のOB(元捕手)であり、中央大学を経て母校の教壇に立ちながら指導に携わってきた生粋の三高人です。
三木新監督は就任直後の2023年夏、激戦の西東京大会を見事に制し、新監督としての初陣でいきなり甲子園ベスト16へと導きました。小倉イズムである「フルスイングと全力疾走」をしっかりと継承しながらも、投手の継投策や相手の配球データを緻密に分析する現代的な戦術眼を導入し、名門の看板を盤石なものとしています。