この劇的な展開を語る上で欠かせないのが、圧倒的な破壊力でジオフロント内部まで侵攻した第14使徒ゼルエルの存在だ。それまでの敵とは一線を画す絶望的な強さ。両腕のカッターで2号機の首と腕を容易く切断し、零号機の特攻すら一瞬で退けたその猛威は、視聴者に「絶対に勝てない」という無力感を徹底的に叩き込んだ。
NERV本部の発令所にまで迫る脅威は、主要キャラクターたちの精神を極限まで追い詰めた。この圧倒的な悪夢が存在したからこそ、土壇場で戻ってきた初号機の登場と、その後の狂暴な覚醒シーンがカタルシスを超えた異様な恐怖と感動を呼んだのだ。ゼルエルという存在は、シンジという人間が抱える内面の葛藤を力ずくで引きずり出すための、完璧な試練として機能していた。