かつてジョディ・フォスターが主演した映画『パニック・ルーム』を覚えているだろうか。侵入者から逃れるため、コンクリートと鉄扉で閉ざされた一室に逃げ込む緊迫のサスペンス劇だ。映画の公開当時、多くの観客はそれをフィクションの過剰演出として受け止めていた。だが現在、現実に作られているセーフルームは、あの映画の描写を遥かに過去のものへと追いやっている。
現代の空間は、外部からの通信遮断や監視カメラのハッキングを前提に設計されている。独自の衛星回線、自己完結型の発電モジュール、さらには邸宅全体のセキュリティシステムを秘密室内から完全掌握・遠隔操作できる中央統制コンソールが備わる。もはや単に「身を隠す場所」ではなく、侵入者を返り討ちにするための指令本部として機能しているのだ。