なぜ曼殊院門跡に幽霊画が?噂の真相から枯山水の魅力まで徹底解説

なぜ曼殊院門跡に幽霊画が?噂の真相から枯山水の魅力まで徹底解説

なぜ曼殊院門跡に幽霊画が?噂の真相から枯山水の魅力まで徹底解説とはどのようなものなのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。

曼殊院門跡を検索する人の多くが目にするのが、「幽霊画」にまつわる怪談めいた言説です。インターネット上では「見ると熱を出す」「写真に収めると呪われる」といったセンセーショナルな噂が長年一人歩きしてきました。しかし、歴史資料や寺院の伝承を冷静に追跡すると、ネットの都市伝説とはまったく異なる本質が浮かび上がってきます。

曼殊院に伝わる幽霊画は、江戸時代の絵師の手によるもので、一般には円山応挙の筆と伝承される作品などが知られています。足のない幽霊の姿を描いた幽霊画の先駆と目される応挙の作風は、見る者を恐怖に陥れるためではなく、儚さや哀愁、この世への未練を静謐に描き出す点に真骨頂があります。

なぜ皇室ゆかりの気品ある門跡寺院に、不気味とも取れる幽霊画が所蔵されているのか。現場関係者の証言や古記録の考証によれば、これらは決して面白半分の蒐集品ではありません。かつて非業の死を遂げた者や、浮かばれない魂を鎮め、供養するために寺院へ納められた「祈りの対象」でした。心理学的な観点から見れば、死の影を直視し、それを芸術と宗教儀礼の中で昇華させる営みは、不吉を遠ざけて心の平穏を得るための「カタルシス(精神の浄化)」としての機能を担っていました。

現在、幽霊画は常時展示されているわけではなく、夏の特定の供養時期や特別公開期間を除いて厳重に保管されています。むやみに恐れを煽るネットの言説に惑わされることなく、死生観を深めるための歴史的・美術的遺産として対峙することこそが、この絵画に対する正当な姿勢といえます。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。