報道関係者の現地取材や水産団体へのヒアリング調査から見えてくるのは、沖合漁業の現場が直面する極限の経営危機と人手不足です。
「昔はひと網入れれば船が沈みそうになるほど魚が入った。今はソナーに反応があっても群れが小さく、1週間海に出て油代すら出ない航海もある」——三陸地方のまき網漁船団に所属するベテラン船長は、近年の不漁について重い口を開きます。
沖合漁船の機関を動かす燃料(A重油)価格は、世界的な地政学リスクや円安の影響を受け、高止まりを続けています。中型船が1回の航海(約1週間)に出るだけで、数百万円規模の燃料代と氷代、食糧費が固定費として吹き飛びます。魚が獲れなければ即座に数百万円の赤字を背負うというハイリスクな状況下で、船主の資金繰りは限界に達しています。
現場のリアルな証言(地方水産関係者):
「洋上での24時間交代勤務、数日間にわたる揺れとの戦い。若手の日本人は募集しても集まらない。船員の平均年齢は60歳を超えており、現在はインドネシアやフィリピンなどからの外国人技能実習生・特定技能人材がいなければ、出港すらままならないのが沖合漁業の偽らざる実情です」
ネット上の掲示板やSNSでは「魚が高いのは流通業者が中抜きしているからだ」といった短絡的な言説も散見されますが、現場の過酷なコスト構造とリスクを検証すれば、現行の魚価水準でも漁業経営がギリギリの防衛戦を強いられていることが明白です。