ネット上の情報空間には、ぶどう糖果糖液糖に対する事実無根の極端なデマや陰謀論も渦巻いています。冷静なリスク管理を行うためには、科学的事実と根拠のないデマを峻別しなければなりません。
典型的な誤解の一つが、「アメリカでは危険すぎて全面禁止されている」という言説です。これは完全な虚偽です。アメリカでは「高フルクトース・コーンシロップ(HFCS)」の過剰摂取と肥満率の激増が社会問題化し、一部の自治体でソーダ税(清涼飲料水への課税)が導入されたり、大手ブランドが自主的に砂糖へ切り替える「コーンシロップ離れ」が起きたりしたことは事実ですが、FDA(米国食品医薬品局)が使用を禁止した事実は一切ありません。日本においても食品衛生法に基づく安全基準をクリアしています。
また、「原料のトウモロコシが遺伝子組み換えだから発がん性がある」という主張も科学的な妥当性を欠いています。輸入されるトウモロコシの多くが遺伝子組み換え作物(GMO)であることは事実ですが、精製段階でデンプンを徹底的に分離・精製し、タンパク質や外来DNAは完全に除去されます。最終製品である液糖の中にはアレルギー原因物質や組み換え遺伝子の痕跡は残存しないため、これが直接的に発がん性をもたらすという主張は専門機関によって否定されています。
つまり、ぶどう糖果糖液糖の真の危険性は「化学的な毒性」ではなく、「人間の消化生理が想定していないスピードで、高濃度の糖分を際限なく摂取できてしまう製品設計」という物理的・量的な問題に集約されます。