隔離を終えたら、次に直面するのが日々の温度管理です。メダカの発生生理学において、受精卵が細胞分裂を繰り返し、目や心臓が形成されて孵化に至るまでの期間は、水温との密接な掛け算で決まります。これが飼育現場で金科玉条とされる「積算温度(せきさんおんど)」の法則です。
メダカの孵化に必要な積算温度は概ね250℃(環境により240〜260℃)とされています。日々の平均水温を足し合わせ、その合計が250℃に達した段階で、稚魚は自ら殻を溶かす酵素を分泌して外の世界へ泳ぎ出します。以下の比較表は、設定水温別の孵化所要日数と、現場でのメリット・リスクをまとめたものです。
現場取材において「目玉まで確認できたのに途中で動かなくなった」という相談を数多く耳にします。この真相の大半は、水温の乱高下か、容器内の酸欠です。特に浅い平皿やプリンカップで管理している場合、直射日光が当たると数時間で水温が35℃近くまで急上昇し、卵が煮えてしまいます。水温変化の緩やかな明るい日陰に設置することが、孵化を完遂させる決定打となります。