ネット上の掲示板やSNS、知恵袋には、精神科入院を経験した家族の生々しい悲鳴が溢れています。「うつ病が悪化して保護室に入れられた家族の入院費として初月に38万円を請求された」「同意書にサインしないと入院させられないと脅されたように感じた」といった証言は、決して例外的な出来事ではありません。
都内の精神科単科病院に勤務するベテラン精神保健福祉士(PSW)は、取材に対して現場の暗部を次のように打ち明けます。
「精神科救急で運び込まれる患者様のご家族は、精神的パニックの極限状態にあります。『早く助けてほしい』という一心から、病院側が差し出す誓約書やアメニティ契約、差額ベッド代の承諾書に内容を精読しないままサインしてしまうケースが後を絶ちません。後から『こんな金額は払えない』と医事課で泣き崩れるご家族を何人も見てきました」
さらに見落とされがちなのが、入院患者本人の小遣い管理料や通信費です。精神科病院では、本人が院内の売店で買い物をするための現金を病棟スタッフが預かって管理する「小遣い管理手数料」として月額数千円を徴収する病院が存在します。また、閉鎖病棟ではスマートフォンの充電器持ち込みが制限され、有料の専用保管庫や公衆電話用テレホンカード代が重なるなど、細かな実費負担が地味に家計を削り取っていきます。
この経済危機を乗り切る上で、社会復帰を目指す現役世代にとって生命線となるのが「傷病手当金」です。会社員や公務員が精神疾患で入院・休業した場合、連続する3日間の待機期間を経て、4日目から最長1年6ヶ月間にわたり、標準報酬日額の3分の2が支給されます。精神科の急性期治療は2〜3ヶ月に及ぶことが多いため、入院と同時に勤務先へ傷病手当金支給申請書の作成を依頼し、傷病手当金をそのまま入院費と固定費の支払いに充当する資金ラインを構築するのが、倒産・困窮を避ける標準的な防衛ルートとなります。