「なぜ同じ国の中で激しい武力衝突が繰り返されるのか」という疑問に対し、南スーダンの紛争をわかりやすく紐解くには、政治・民族・経済という3つの連動した力学を理解する必要があります。
内戦勃発の直接的な引き金となったのは、2013年12月に発生した大統領派警護隊と副大統領派部隊の軍事衝突です。キール大統領が所属する最大民族「ディンカ族」と、マシャール副大統領の出身母体である第二民族「ヌエル族」の権力闘争が軍内部に波及し、全国規模の報復虐殺へと拡大しました。これが南スーダンの民族対立背景として国際的に広く知られる構図です。
しかし、文化人類学者や地域研究者の証言が示す通り、民族の違いそのものが戦争を起こしたわけではありません。最大の火種は、国家経済の根幹を握る石油資源の利権争いです。
南スーダンの内戦理由は、中央政府のポストと油田地帯の支配権を巡るエリート層のパトロン・クライアント関係にあります。指導者層は自らの政治的地位と軍閥組織を維持するため、配下の兵士や同部族の若者に資源の富を分配してきました。この「資源の呪い」とも呼ぶべき配分構造が崩れた際、部族意識を扇動して武装蜂起させるサイクルが定着してしまったのです。