ネット上では長年、「本橋麻里はいつ引退したのか」「実質的な引退ではないのか」という議論が絶えません。しかし、本橋本人は公式会見や自著において、一貫して「引退」という言葉を明確に使うことを避けてきました。
真相の原点は、2018年平昌オリンピック直後の決断にあります。サードやリザーブとして献身的にチームを支え、日本カーリング史上初となる歴史的銅メダルを獲得したわずか数カ月後、本橋は「選手としての休養」を発表しました。この時、公の場で見せた表情について、当時の特番インタビューで彼女は次のように語っています。
「チームが強くなるために、私がスキップ(司令塔)やレギュラーとして氷に立ち続けることだけが正解じゃない。後輩たちが世界で勝つための環境を整えることが、創設者である私の本当の役割だと気づいたんです」
つまり、彼女にとって第一線を退いた理由は、肉体的な限界や燃え尽き症候群ではなく、「チームの自律的成長のために自らのポジションを空ける」という高度な戦略的判断でした。さらに「カーリングは老若男女が一生続けられる生涯スポーツ。だから私自身、一生引退することはない」と宣言しています。現在もトップチーム「ロコ・ソラーレ」の選手登録からは外れているものの、育成チーム「ロコ・ステラ」の一員として氷に立ち続けており、「第一線からの勇退」であっても「競技からの引退」ではないというのが正確な事実です。