先進的な取り組みで評価されていた式秀部屋ですが、2020年8月、所属力士の半数以上が部屋を脱走して相撲協会に通報するという前代未聞の騒動が発生しました。メディアでも大々的に報じられたこの事件の背景には何があったのでしょうか。
関係者への取材や当時の協会の調査報告によると、騒動の直接的な引き金となったのは、部屋の切り盛りを担当していた女将さんによる「行き過ぎた生活管理とプライバシーの制限」でした。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、感染防止を徹底するあまり、力士たちのロッカーの抜き打ち検査や監視カメラによる行動把握、外出の過剰な制限などが行われ、若手力士たちの心理的負担が限界に達していたことが判明しました。
日本相撲協会コンプライアンス委員会による調査の結果、暴力行為等の悪質な規律違反は認められなかったものの、指導方法の是正が求められ、親方および女将さんに対して厳重注意処分が下されました。当時、女将さんは弟子たちの健康管理や部屋の経営を献身的に支える存在として知られていましたが、「よかれと思って行った過干渉」が裏目に出てしまった形です。
騒動後、式秀部屋は外部専門家のアドバイスも取り入れながら組織改革に着手。プライバシーの尊重、スマートフォン等の個人管理ルールの見直し、定期的な面談によるストレスケアなど、生活環境の大幅な改善が図られました。2026年現在では、かつての歪みが解消され、風通しの良い生活空間が取り戻されています。