この名シーンの凄みは、カイジが置かれていた過酷な極限状態を理解することで初めて浮き彫りになります。借金苦から帝愛グループの地下労働施設に収容されたカイジは、過酷な肉体労働に耐え、月給として支給された独自通貨「91,000ペリカ(日本円換算で約9,100円)」を受け取ります。借金返済と地上への生還を目指し、カイジは「1ペリカも使わずに貯金する」と固く誓っていました。
そこに近づいてきたのが、現場を仕切る大槻班長です。大槻は「初給料のお祝い」と称し、冷えた缶ビール(アサヒスーパードライ)の135mlミニ缶をカイジに無償で手渡します。一口だけならと口をつけた瞬間、乾ききったカイジの肉体と精神は一瞬で快楽に呑み込まれました。
以下は、原作およびアニメで描かれたモノローグ・セリフ全文の核心部分です。
「うまいっ……! 犯罪的だ……! うますぎる……! 染み込んできやがる…… 体に……! 溶けそうだ……! 本当にやりかねない…… ビール一本のために…… 強盗だって……! ありがてぇっ……! 涙が出るっ……! 犯罪的だ……! 刺さる……! 骨身に……! 染み渡る……! うまい……! うますぎる……! キンキンに冷えてやがる……! 悪魔的だ……!」
タガが外れたカイジは、大槻のワゴンから定価の数倍に設定されたレギュラー缶ビール(350ml・3,500ペリカ)、さらに焼き鳥串とポテトチップスを次々と自腹で購入。「今日だけ…今日だけだ…!」と言い訳を重ねながら散財を続け、一夜にして給料の大半を溶かしてしまうのでした。